実践・設備設計シリーズ #02

PLCで設備を1から設計する
I/O設計編

第1回で決めた設備仕様を、PLCが扱える「入力」と「出力」へ落とし込みます。センサ・モータ・ストッパの役割を整理し、X/Y割付の大枠まで作ります。

今回決めること

  • 入力と出力の役割分け
  • 搬送部I/Oの仮割付
  • X/Y割付と予備点の考え方

前提にする設備

  • CV01〜CV04の独立搬送
  • 各区間に存在・通過センサ
  • モータと前後ストッパ

今回はまだやらないこと

  • ラダー入力
  • GX Works2での動作確認
  • 加工部I/Oの最終確定

第2回でわかること

1. I/O設計は「設備の動き」をPLCの言葉に置き換える作業

第1回では設備全体の流れを決めました。第2回では、その流れをPLCから見える信号へ分解します。センサや押しボタンは入力、モータやストッパ用の電磁弁などは出力として整理します。

設備仕様何をしたいか
機器を分けるセンサ・駆動機器
I/O一覧入力・出力へ分類
X/Y割付PLC番地へ配置
入力機器からPLC、出力機器へつながるI/O設計の全体像
入力・PLC・出力の関係と、I/O設計を進める流れを1枚で整理します。
先輩いきなりX0、Y0から埋めるより、まず設備側の信号を全部並べる方が抜け漏れを減らせます。
後輩番地を決める前に「何の信号が必要か」を固めるんですね。

2. まず入力側を整理する

搬送区間ごとに、ワークがその区間にいるかを見る存在センサと、区間を通過したことを見る通過センサを用意します。CV01〜CV04に各2点、搬送センサだけで合計8点です。

仮番地信号役割
X0CV01 存在CV01上のワーク有無
X1CV01 通過CV01通過判定
X2CV02 存在CV02上のワーク有無
X3CV02 通過CV02通過判定
X4CV03 存在CV03上のワーク有無
X5CV03 通過CV03通過判定
X6CV04 存在CV04上のワーク有無
X7CV04 通過CV04通過判定
X10投入完了作業者の投入完了通知
X11〜X17操作・監視系の予備運転モード、リセット、監視信号などを仕様確定後に配置

通過センサは「OFFだった」だけでは完了にしない

このプロジェクトでは、通過センサが一度ONしたあとにOFFへ戻る変化を見て通過完了とします。初めからOFFだった状態を通過完了と誤判定しないためです。

安全関連の信号をPLCへ取り込む場合も、ここでは状態監視として扱います。安全機能そのものを通常PLCだけで代用する設計にはしません。

3. 次に出力側を整理する

搬送部では、各コンベヤの運転指令と、ワークを区切る入口側・出口側ストッパ、投入可表示をまとめます。

仮番地出力役割
Y0〜Y3CV01〜CV04 運転4区間を独立して搬送
Y4〜Y7CV01〜CV04 入口側ストッパ各区間へのワーク流入を制御
Y10〜Y13CV01〜CV04 出口側ストッパ次工程への流出を制御
Y14投入可表示作業者へ投入可能状態を表示
Y15〜Y17予備表示や補助機器の追加用

加工エリアの細かな出力は第4回で確定

加工ステーションの具体的な駆動機器は、加工工程の動作を整理してから追加します。未確定の機器をここで作り込まず、確定した信号だけを先に割り付けます。

4. X/Y割付は「まとまり」と8進数を意識する

今回のPLC構成はFX3U-80MT/DS + FX2N-16EXを前提にし、入力56点・出力40点の範囲で設計します。番地は、あとでラダーを読む人が追いやすいように、設備のまとまりごとに並べます。

FX3UのX/Y番地は8進数

FX3U系の入出力番号は8進数で、X0〜X7の次はX10です。X8・X9は使いません。Yも同じ考え方でY0〜Y7、Y10〜Y17と進みます。

FX3U系PLCのXとYの8進数番地でX7の次がX10、Y7の次がY10になることを示す図
FX3U系のX/Y番地は8進数で進みます。X0〜X7の次はX10、Y0〜Y7の次はY10です。
番地ブロック今回の使い方狙い
X0〜X7CV01〜CV04 存在・通過搬送センサを連続番地にまとめる
X10〜X17投入・操作・監視系操作信号を別グループへ分ける
Y0〜Y7モータ+入口ストッパ搬送駆動を先頭側へまとめる
Y10〜Y17出口ストッパ+表示+予備空圧・表示系をひとまとめにする

メーカー公式資料で確認

三菱電機「FX3Uシリーズ ユーザーズマニュアル[ハードウェア編]」(Ver.AA / JY997D16101-AA / 2024年6月)の入出力番号割付では、X/Yが8進数で割り付けられることが示されています。三菱電機公式・日本語マニュアルを見る

ここで示した番地は搬送部を理解しやすくするための仮割付です。加工部のI/Oが揃った段階で、設備全体の最終I/O表として確定します。

5. 予備点を残しておく

I/Oをぎりぎりまで詰めると、後からセンサや表示灯を1点追加しただけで割付全体を崩すことがあります。そこで、搬送・操作・加工などのまとまりごとに少し空きを残します。

使用中のI/O、予備点、将来増設用のI/Oを分けて確保する考え方
現在使う点だけで埋めず、予備点と将来増設用の余白を意識してI/Oを割り付けます。

「使っていない点」も設計の一部

予備点は無駄ではありません。変更しやすさ、保守しやすさ、図面とプログラムの読みやすさを守るための余白です。

予備点を残す場合は、図面やI/O表にも「予備」と明記します。何も書かれていない空き番地より、意図して空けていることが分かる方が後工程で迷いません。

6. 第2回のまとめ

設備仕様からI/Oを起こすときは、番地から考えるのではなく、まず設備側の信号を洗い出します。その後に入力・出力へ分け、機能ごとにまとまりを持たせてX/Yへ配置します。

STEP 1設備側の信号を洗い出すセンサ・操作・監視信号を先に整理
STEP 2入力・出力へ分ける役割ごとにI/O一覧へ落とし込む
STEP 3X/Yへまとまりで割り付ける8進数と予備点も一緒に考える
設計ステップ今回の結果
設備仕様を確認CV01〜CV04と加工エリアの役割を再確認
入力を整理X0〜X10を中心に搬送・投入信号を仮割付
出力を整理Y0〜Y14へモータ・ストッパ・表示を仮割付
番地ルールFX3UのX/Yは8進数であることを確認
予備操作系・表示系の追加用に空きを残す

この設備を、設計の順番でシリーズ化する

今読んでいる位置と、次に進む記事がすぐ分かるようにシリーズ全体を並べています。

  1. 第1回設備仕様と全体構想完了
  2. 第2回PLC・I/O構成を決める今ここ
  3. 第3回CV01〜CV04の搬送制御を考える次ここ
  4. 第4回加工ステーションのシーケンスを作る
  5. 第5回手動運転・異常処理・復旧を設計する
  6. 第6回GOT画面と保守・生産情報を作る
  7. 最終GX Works2へ実装してシミュレーションする

次回|搬送制御を組み立てる

第3回では、今回整理したI/Oを使って、CV01→CV02、CV02→CV03、CV03→CV04の搬送条件と、搬送完了・タイムアウト・隣接区間インターロックを組み立てます。

第3回で使う材料は揃った

「どのセンサを見て、どの出力を動かすか」が決まったので、次は内部リレーやステップへ入る前に、1区間ずつ搬送条件を文章で固定していきます。

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