実践・設備設計シリーズ #01

PLCで設備を1から設計する
穴あけ加工ライン設計プロジェクト

仮想の穴あけ加工ラインを題材に、設備仕様・I/O・搬送・加工・制御設計を「1台の設備をつくる流れ」でつないでいきます。

今回つくるもの

  • CV01〜CV04の独立搬送区間
  • 穴あけ加工エリア
  • 加工後はシンプルなシュート排出

この記事で決めること

  • 設備全体の構成
  • PLCとI/Oの考え方
  • 搬送・加工の基本シーケンス

まだやらないこと

  • GX Works2への実入力
  • シミュレータでの動作確認
  • 実機主回路・安全回路の詳細確定

第1回でわかること

1. まずは「どんな設備をつくるのか」を決める

題材にするのは、樹脂ワークを1個ずつ投入し、CV01〜CV04を通して加工エリアへ送り、穴あけ加工を行ったあとに排出する小型の仮想生産ラインです。

CV01投入・搬送
CV02搬送
CV03搬送
CV04加工前搬送
加工エリア穴あけ・排出
説明する先輩キャラクター

先輩いきなりラダーを書くのではなく、まず設備がどう動くかを決めるところから始めます。

質問する後輩キャラクター

後輩PLCより先に、機械の流れと完了条件を整理するんですね。

2. ラダーより先に設計条件を固定する

プログラムから考え始めると、途中でI/Oや動作条件が足りなくなりやすいので、まず設備として何を実現するかを整理します。

項目今回の基準設計で効いてくる部分
ワークMCナイロン W100×D60×H20 mm検出、位置決め、加工位置
加工上面中央へφ8・深さ15 mmの止まり穴加工開始・完了条件
搬送CV01〜CV04を独立区間として扱う在席管理、区間搬送
バッファCV02〜CV04で待機可能下流空きと搬送許可
排出加工完了後にストッパを解除しシュート側へ排出加工完了と排出確認

設計の順番を守る

「何を検出して、何を動かして、何を完了条件にするか」を先に決めると、あとでPLCロジックへ落とし込みやすくなります。

3. 設備全体とPLCのI/Oをつなげて見る

設備構成が決まったら、次は「PLCが何を見て、何を動かすのか」を整理します。入力側と出力側を分けて考えるだけでも、設備全体の役割が見えやすくなります。

穴あけ加工ラインの全体図とPLC I/O構成イメージ
穴あけ加工ライン全体と、入力機器 → PLC → 出力機器の関係。
入力側で見るもの

ワーク在席、区間通過、加工位置、運転モード、運転許可など。

出力側で動かすもの

CV01〜CV04、ストッパ、加工ユニット、表示灯・ブザーなど。

安全機能は通常PLCだけで完結させない

このシリーズでは通常制御を中心に扱います。実機の安全機能や主回路・保護設計は、使用機器・リスク評価・メーカー資料に基づいて別途確認します。

4. 搬送と加工を「順番」で整理する

I/Oを決めただけでは設備は動きません。どの条件で次の工程へ進むのかを、投入から加工・排出までの流れとして整理します。

搬送と穴あけ加工の動作シーケンス
STEP1〜3とSTEP4〜6を分けて、投入・搬送・加工・メカシュート排出までを確認します。
STEP1 投入STEP2 CV01→CV02STEP3 CV02→CV03STEP4 CV03→CV04STEP5 加工STEP6 排出

搬送完了は1つの信号だけで決めない

搬送元・搬送先・通過確認などを組み合わせ、開始条件と完了条件を分けて考えると、後からラダーへ落とし込みやすくなります。

5. 設備設計は6つの工程で進める

今回のプロジェクトでは、要件整理から試運転までを6段階に分けます。完成コードよりも「何をどの順番で決めるか」を重視します。

穴あけ加工ライン設計の6ステップ
要件整理 → 構想設計 → 電気設計 → プログラム設計 → 製作・配線 → 試運転・調整。
1. 要件整理

条件と仕様を整理する。

2. 構想設計

コンベア・ストッパ・加工部の配置を決める。

3. 電気設計

PLC、センサ、I/Oの構成を考える。

4. プログラム設計

動作シーケンスを制御ロジックへ落とす。

5. 製作・配線

図面と仕様に沿って設備を形にする。

6. 試運転・調整

動作を確認し、問題を洗い出して改善する。

6. このシリーズでは「なぜそう設計したか」も残す

完成したI/O表だけでなく、設計途中の判断を残すと、あとから見返したときに設備の考え方が追いやすくなります。

搬送はCV01〜CV04に分ける

区間ごとに状態を見ながら、下流の空きに合わせて搬送できる構成にします。

隣接区間は同時搬送させない

受け渡しの競合を避けつつ、離れた区間は並行動作できる考え方にします。

通過は「見た+抜けた」で判断

センサが一度ONになり、その後OFFへ戻ったことを通過確認として扱います。

待機と故障を分ける

下流待ちや排出満杯は状態として扱い、指令に対する応答不成立とは分けて考えます。

7. 現在地:設計済みと動作確認済みを分ける

設備仕様:設計済みI/O方針:設計済み搬送・加工シーケンス:設計済みGX Works2:未入力Simulator:未試験

ここまでで設備仕様、I/Oの考え方、搬送・加工シーケンスは整理できました。一方で、GX Works2への実入力とシミュレーション確認はまだ行っていません。

「設計できた」と「動いた」は別

このシリーズでは、紙上設計・PLC入力・シミュレーション確認を同じ「完成」にまとめず、確認できた段階をそのまま表示します。

この設備を、設計の順番でシリーズ化する

今読んでいる位置と、次に進む記事がすぐ分かるようにシリーズ全体を並べています。

  1. 第1回設備仕様と全体構想今ここ
  2. 第2回PLC・I/O構成を決める次ここ
  3. 第3回CV01〜CV04の搬送制御を考える
  4. 第4回加工ステーションのシーケンスを作る
  5. 第5回手動運転・異常処理・復旧を設計する
  6. 第6回GOT画面と保守・生産情報を作る
  7. 最終GX Works2へ実装してシミュレーションする
NEXT|第2回

I/O設計編へ進む

PLCで設備を1から設計する 第2回 I/O設計編 第2回|PLC・I/O構成を決める 入力・出力を整理し、X/Y割付と予備点まで具体化します。 第2回へ進む

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