回路の基本

起動・停止回路とは?押して起動・停止で止まる基本回路をやさしく整理

起動・停止回路は、起動ボタンで運転を始め、停止ボタンで止める基本回路です。押しボタンのa接点・b接点とPLCラダー上の接点表示を混同しないよう、自己保持までひとつの流れで整理します。

/ 公式資料確認日:2026年9月29日

この記事が向いている人

  • 起動ボタンと停止ボタンの基本回路を整理したい人
  • 自己保持回路の前提になる考え方を知りたい人
  • ハード回路とPLCラダーで接点の見え方が変わる理由を知りたい人

先に分けて考えること

  • 押しボタンのa接点・b接点は「実物の接点」の話
  • PLCラダーの接点は「入力や内部状態をどう判定するか」の話
  • 非常停止や安全機能は通常の起動・停止回路とは別に設計する

先に結論

  • ハード回路では停止ボタンにb接点、起動ボタンにa接点を使う構成が基本
  • PLCでは物理接点の種類だけでラダーのa接点・b接点を決めない
  • 起動後は自己保持で運転を続け、停止条件で保持を切る

この記事で分かること

起動・停止回路の全体像

起動・停止回路は、起動ボタンを押して運転を始め、停止ボタンを押して運転を止めるための基本回路です。

リレーや電磁接触器を使うハード回路では、停止ボタン、起動ボタン、自己保持用の補助接点、コイルをつないで構成します。PLCでは同じ考え方を入力信号・内部状態・出力条件としてラダーへ置き換えます。

現場で回路を追う時は、起動ボタンだけでなく、停止経路 → 起動指令 → 自己保持 → 運転出力の順に分けて見ると原因を追いやすくなります。

停止経路、起動指令、自己保持、停止までの起動・停止回路の全体像
停止経路 → 起動指令 → 自己保持 → 停止の順で見ると、起動・停止回路の全体像を整理しやすくなります。
先輩の案内キャラクター

先輩起動・停止回路は「動かす条件」だけを見るより、最初に停止経路が成立しているかを確認すると追いやすいよ。

新人の案内キャラクター

新人実物の停止ボタンがb接点でも、PLCのラダーまで必ずb接点表示になるわけではないんですね。

押しボタンは停止b接点・起動a接点が基本

押しボタンスイッチそのものを見ると、一般的な起動・停止回路では停止ボタンにb接点(NC)、起動ボタンにa接点(NO)を使う構成が基本です。

停止ボタンのb接点は通常時に閉じていて、押すと開きます。起動ボタンのa接点は通常時に開いていて、押している間だけ閉じます。自己保持では、出力がONした後に閉じる補助a接点や、PLC内部の保持条件を起動ボタンと並列に使います。

停止ボタンのb接点と起動ボタンのa接点について、通常時と押した時の物理接点の状態を比較した図
a接点・b接点は「通常時の状態」で決まります。押した瞬間の開閉状態だけで接点種類を判断しないことがポイントです。
部品・信号 基本の考え方 役割 現場で見るポイント
停止ボタン 物理接点はb接点(NC)が基本 押した時に停止経路を開く 通常時と押下時で入力状態がどう変わるか
起動ボタン 物理接点はa接点(NO)が基本 押した時だけ起動指令を出す 押した時に入力が確実に変化するか
自己保持 補助a接点/PLC内部条件 起動ボタンを離しても運転を続ける 出力ON後に保持経路が成立しているか

物理的なb接点=PLCラダーのb接点、ではない

たとえば、停止ボタンをNC配線し、通常時はPLC入力X0がON、停止ボタンを押すとX0がOFFになる構成を考えます。この場合、ラダーではX0のa接点命令を「停止許可」として直列に置く表現ができます。

つまり、押しボタンの接点種類と、PLCが現在の入力状態をどう判定するかは別の話です。実機では回路図とI/Oモニタを見て、通常時・押下時に入力がON/OFFのどちらになるかを確認します。

補足する先輩ちびキャラ

停止経路は「接点名」ではなく状態で確認する

起動しない時は「停止はb接点だからラダーもb接点」と決めつけず、停止ボタンの配線、PLC入力状態、インターロック条件の順に確認すると切り分けやすくなります。

簡略ラダー例で見る起動・停止回路

PLCの簡略例では、M0を運転準備(運転許可)の直列条件にし、その後ろでX1起動とY0自己保持を並列にします。

M0がONしている間だけX1でY0を起動でき、Y0がONした後はY0のa接点がX1だけをバイパスします。M0がOFFになれば、自己保持中でもY0はOFFします。

M0運転準備を直列条件にし、X1起動とY0自己保持を並列にした起動・停止回路の簡略ラダー例
M0は直列条件として残し、Y0の自己保持接点はX1だけをバイパスします。

自己保持はX1だけをバイパスする

Y0の自己保持接点をX1と並列にすることで、起動ボタンを離しても運転を継続できます。一方、M0は自己保持の外側にあるため、運転準備が外れればY0も必ずOFFします。

この図のM0・X1・Y0はPLCのデバイス例です。押しボタンの物理a接点/b接点と、PLCラダー上で使用する接点命令は分けて考えます。

自己保持回路とのつながり

起動・停止回路は、自己保持回路とほぼセットで考えます。三菱電機FAでは、電磁接触器自身の補助a接点を使って操作コイルの通電を維持し、ON指令がなくなってもON状態を維持する回路を自己保持として説明しています。

ハード回路では電磁接触器やリレーの補助a接点を起動ボタンと並列に入れます。PLCでは出力Yや内部リレーなどの状態を使って同じ考え方を作れますが、何を保持するか、停電・異常・モード切替時にどう解除するかまで設計して使います。

起動ボタン

運転を始める一瞬のきっかけです。モーメンタリ形なら、ボタンを離すと接点は元の状態へ戻ります。

自己保持接点

出力がONした後、起動ボタンの代わりに運転条件をつないで状態を維持します。

停止経路

自己保持より手前で停止条件を成立させ、停止操作時に保持経路もまとめて切れるように考えます。

運転出力

電磁接触器のコイル、リレー、PLC出力、内部運転フラグなど、回路の目的に応じて対象が変わります。

起動しない・保持しない時の確認ポイント

トラブル時は、M0運転準備 → X1起動入力 → Y0運転出力 → Y0自己保持の順に追うと切り分けやすくなります。

この例では、M0が成立していなければX1を押してもY0はONしません。Y0が一度ONしても、自己保持が成立していなければX1を離した時に停止します。

M0運転準備、X1起動入力、Y0運転出力、Y0自己保持の順に確認する起動・停止回路のトラブル切り分け図
動かない・保持しない時は、M0 → X1 → Y0 → 自己保持の順で一つずつ確認します。
注意点を案内する先輩ちびキャラ

通常停止と非常停止・安全回路は別物

この記事の起動・停止回路は、通常運転の基本ロジックを説明するものです。非常停止やガード監視などの安全機能を、この回路だけで代用することはできません。安全に関わる回路は、対象設備のリスク・適用規格・使用機器の公式資料に従って別に設計します。

参考にした公式資料

今回の更新では、自己保持の定義、GX Works2の公式マニュアル案内、NC/NO接点と安全回路の考え方を一次情報で再確認しました。

注意:上記は基本概念の確認に使った資料です。実機の入力論理、配線、復帰条件、安全要求は、使用しているPLC・スイッチ・安全機器と設備仕様を優先してください。

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