回路の基礎

GX Works3のMOV命令とは?
値をデバイスへ転送する基本

MOVを「値のコピー」として読むコツを中心に、転送元(s)と転送先(d)、実行条件の見方を現場目線で整理します。

向いている人

  • GX Works3でMOV命令の読み方を覚えたい人
  • 値をDレジスタへ入れる場面で迷いやすい人
  • 命令が効かない時の切り分け手順を知りたい人

今回は深掘りしない範囲

  • MOVP / DMOV / DMOVPの詳細仕様
  • CPUシリーズごとの差分の完全網羅
  • 32ビット演算全体の設計論

先に結論

  • MOVは転送元の値を転送先へコピーする命令
  • 初心者は値を入れる命令として読むと理解しやすい
  • まずは実行条件・s・d・上書き先を追う

この記事のポイント

1. GX Works3のMOV命令とは?

MOV命令は、転送元(s)のデータを転送先(d)へ転送するデータ転送命令です。MELSEC iQ-F系の整理では、MOVは16ビットの転送命令として扱われます。

GX Works3のMOV命令の全体像

2. 先に結論:MOVは「値を別のデバイスへコピーする」命令

名前はMoveですが、初心者向けには「値を入れる」「値をコピーする」と読むと実務で迷いにくくなります。条件がONしているときだけ実行され、転送先はその値で更新されます。

基本の考え方

ラダーでは「条件成立→MOV実行→転送先の値が変わる」の順で見る。まずは転送元(s)と転送先(d)を分けて追う。

3. MOV K100 D0 の読み方

MOV K100 D0 は、定数100をD0へ入れるイメージです。定数を初期値としてセットする場面でよく使います。

現場での読み方

s=K100(元の値)、d=D0(入れ先)。条件が成立している間、D0は100に保たれる回路になりやすいです。

4. MOV D10 D20 の読み方

MOV D10 D20 は、D10の現在値をD20へコピーするイメージです。D10を監視用や計算用に退避する使い方ができます。

後輩
MOVって「移動」だから、D10の値は消えるんですか?
先輩
消えないよ。現場では「コピー」と読んだ方が安全。変わるのは主に転送先D20側だね。

5. どこで使う?現場でよくある使い方

  • 比較命令に使う前に、定数や設定値をDレジスタへ入れる
  • タイマー現在値やカウンター現在値をDレジスタへ保存する
  • HMI表示用に、元データを別デバイスへコピーする

既存記事とのつながり

比較命令記事では判定、タイマー・カウンター記事では現在値の扱いが主題でした。MOVを押さえると「値をどこへ入れてから判定するか」が読みやすくなります。

6. MOVとMOVP/DMOVの違い(基礎だけ)

MOVとMOVP

  • MOV:条件中は毎スキャン実行されやすい
  • MOVP:立上り時に1回だけ実行する形として使う
  • 一発転送したい時はMOVPを検討

MOVとDMOV

  • MOV:16ビット転送として扱われる
  • DMOV:32ビット転送として扱われる
  • DMOVは(s+1,s)→(d+1,d)の形で説明される
MOVと関連命令の使い分け表
後輩
どのCPUでも命令名は同じですか?
先輩
シリーズや表示形式で見え方が違うことがある。まずはプロジェクトの命令ヘルプで確認して、断定しすぎないのがコツだよ。

7. MOV命令が効かない時の確認手順

  1. MOVの前段条件がONしているか(実行条件)
  2. 転送元(s)に期待した値が入っているか
  3. 転送先(d)が別ネットワークで上書きされていないか
  4. MOVとDMOVのデータ幅が意図どおりか
  5. 1回だけ転送したいのにMOVで毎回上書きしていないか

よくある失敗例

「条件OFFでMOVが実行されていない」「d側を別回路が再上書き」「32ビット値なのにMOVで扱って値が崩れる」が典型です。

MOV命令が効かない時の確認フロー

8. GX Works3でモニタするときのポイント

転送元・MOV実行条件・転送先を1セットで同時に見ます。1点だけ監視すると原因を取り違えやすいので、最低3点確認が実務向きです。

現場で見るポイント

「いつ転送されるか」「どこへ入るか」「その後に上書きされないか」を時系列で追うと、トラブル切り分けが速くなります。

9. まとめ

今回はMOV命令に絞って、値のコピー・転送元(s)と転送先(d)・実行条件の見方を整理しました。次は比較命令やタイマー・カウンター記事と合わせて読むと、ラダーの読み解き力がさらに安定します。

GX Works3のMOV命令記事まとめ

今回の内容とつながる基礎・周辺テーマです。