1. GX Works3のMOV命令とは?
MOV命令は、転送元(s)のデータを転送先(d)へ転送するデータ転送命令です。MELSEC iQ-F系の整理では、MOVは16ビットの転送命令として扱われます。

2. 先に結論:MOVは「値を別のデバイスへコピーする」命令
名前はMoveですが、初心者向けには「値を入れる」「値をコピーする」と読むと実務で迷いにくくなります。条件がONしているときだけ実行され、転送先はその値で更新されます。
基本の考え方
ラダーでは「条件成立→MOV実行→転送先の値が変わる」の順で見る。まずは転送元(s)と転送先(d)を分けて追う。
3. MOV K100 D0 の読み方
MOV K100 D0 は、定数100をD0へ入れるイメージです。定数を初期値としてセットする場面でよく使います。
現場での読み方
s=K100(元の値)、d=D0(入れ先)。条件が成立している間、D0は100に保たれる回路になりやすいです。
4. MOV D10 D20 の読み方
MOV D10 D20 は、D10の現在値をD20へコピーするイメージです。D10を監視用や計算用に退避する使い方ができます。


5. どこで使う?現場でよくある使い方
- 比較命令に使う前に、定数や設定値をDレジスタへ入れる
- タイマー現在値やカウンター現在値をDレジスタへ保存する
- HMI表示用に、元データを別デバイスへコピーする
既存記事とのつながり
比較命令記事では判定、タイマー・カウンター記事では現在値の扱いが主題でした。MOVを押さえると「値をどこへ入れてから判定するか」が読みやすくなります。
6. MOVとMOVP/DMOVの違い(基礎だけ)
MOVとMOVP
- MOV:条件中は毎スキャン実行されやすい
- MOVP:立上り時に1回だけ実行する形として使う
- 一発転送したい時はMOVPを検討
MOVとDMOV
- MOV:16ビット転送として扱われる
- DMOV:32ビット転送として扱われる
- DMOVは(s+1,s)→(d+1,d)の形で説明される



7. MOV命令が効かない時の確認手順
- MOVの前段条件がONしているか(実行条件)
- 転送元(s)に期待した値が入っているか
- 転送先(d)が別ネットワークで上書きされていないか
- MOVとDMOVのデータ幅が意図どおりか
- 1回だけ転送したいのにMOVで毎回上書きしていないか
よくある失敗例
「条件OFFでMOVが実行されていない」「d側を別回路が再上書き」「32ビット値なのにMOVで扱って値が崩れる」が典型です。

8. GX Works3でモニタするときのポイント
転送元・MOV実行条件・転送先を1セットで同時に見ます。1点だけ監視すると原因を取り違えやすいので、最低3点確認が実務向きです。
現場で見るポイント
「いつ転送されるか」「どこへ入るか」「その後に上書きされないか」を時系列で追うと、トラブル切り分けが速くなります。
9. まとめ
今回はMOV命令に絞って、値のコピー・転送元(s)と転送先(d)・実行条件の見方を整理しました。次は比較命令やタイマー・カウンター記事と合わせて読むと、ラダーの読み解き力がさらに安定します。

あわせて読みたい記事
今回の内容とつながる基礎・周辺テーマです。