回路の基礎

上限・下限リミット回路とは?
行き過ぎを止める基本をやさしく解説

上限・下限リミット回路は、設備が行き過ぎないように止めるための基本回路です。 上昇・下降、前進・後退などの動作で、リミットスイッチを使って動ける方向を制限します。

向いている人

  • 上限LS・下限LSの使い方を知りたい人
  • 前進後退・上昇下降の停止条件を整理したい人
  • GX Works3でリミット条件を追いたい人

まだ不要な人

  • 安全リミットや安全PLCの詳細設計を知りたい人
  • サーボのソフトリミット設定を詳しく知りたい人
  • メーカー別の実回路図そのものを確認したい人

先に結論

  • 上限・下限リミット回路は、行き過ぎる方向を止める回路です。
  • 上限に当たったら上昇を止め、下限に当たったら下降を止めます。
  • 反対方向へ戻せるようにする考え方が大切です。

この記事でわかること

上限・下限リミット回路の全体像

上限・下限リミット回路は、設備の動きが決められた範囲を超えないようにするための回路です。 上昇する装置なら上限リミット、下降する装置なら下限リミットを使って、行き過ぎる方向の出力を止めます。

たとえば、昇降装置が上限に到達したら、さらに上昇する出力を止めます。 ただし、下へ戻る動作はできるようにしておく必要があります。 ここを間違えると、リミットに当たった後に動けなくなることがあります。

上限リミットと下限リミットで動作範囲を制限する全体構成図
上限LSは上昇方向を止め、下限LSは下降方向を止める、という方向ごとの考え方が基本です。

リミットは「全部止める」ではなく「行き過ぎる方向を止める」

上限に当たった時は上昇を止めますが、下降して戻る動きは必要です。 下限に当たった時も同じで、下降は止め、上昇して戻れるようにします。

先輩の案内キャラクター

先輩上限に当たったら、上へ行く出力だけ止める。下へ戻す出力まで止めると復帰できなくなることがあるよ。

後輩の案内キャラクター

後輩リミットに当たった時は、止める方向と戻す方向を分けて見るんですね。

上限LS・下限LSの基本動作

上限LSは、装置が上側の限界位置に来たことを知らせる入力です。 下限LSは、装置が下側の限界位置に来たことを知らせる入力です。

回路では、上限LSが入っている時は上昇出力を出さない、下限LSが入っている時は下降出力を出さない、という形で使います。 反対方向の出力は許可して、リミット位置から戻せるようにします。

上限LS

上側の限界位置を検出します。上昇方向の出力を止める条件に使います。

下限LS

下側の限界位置を検出します。下降方向の出力を止める条件に使います。

上昇出力

上限に当たっていない時だけ出せるようにします。

下降出力

下限に当たっていない時だけ出せるようにします。

リミット入力のa接点・b接点は設備仕様で確認する

リミットスイッチの信号は、通常時ONでリミット到達時OFFにする場合もあります。 ラダー上の接点の見た目だけで判断せず、実際の入力仕様とモニタ状態を確認することが大切です。

インターロックとの違い

上限・下限リミット回路は、インターロック回路と似て見えることがあります。 どちらも「条件が合わない時に出力を止める」という意味では近いですが、見る目的が少し違います。

インターロックは、同時に動かしてはいけない動作や危険な組み合わせを防ぐ考え方です。 上限・下限リミットは、動作範囲の端に来た時に、行き過ぎる方向だけを止める考え方です。

上限・下限リミット回路とインターロック回路の違いを比較した図
リミット回路は動作範囲を守るため、インターロックは動作の組み合わせを制限するために使います。
項目 上限・下限リミット回路 インターロック回路
主な目的 行き過ぎる方向を止める 同時動作や誤動作を防ぐ
よく使う入力 上限LS、下限LS、前進端、後退端 反対動作中、異常中、許可なし、安全条件NG
考え方 端に来たら、その方向だけ止める 条件が合わなければ出力させない
注意点 戻る方向まで止めない 必要な動作まで止めすぎない

リミットとインターロックは組み合わせて使うことが多い

実際の設備では、上限・下限リミットに加えて、反対動作中のインターロックや異常条件も入ります。 どの条件が何を止めているのかを分けて見ると、ラダーが追いやすくなります。

簡略ラダー例

上限・下限リミット回路を簡略化すると、上昇出力には上限LSの禁止条件を入れ、下降出力には下限LSの禁止条件を入れます。 ここでは、上限到達中は上昇できない、下限到達中は下降できないという考え方で表しています。

この例では、上限LSが入っている時は上昇出力が出ないようにしています。 ただし下降出力側には上限LSを入れていないため、上限位置から下へ戻ることができます。

反対方向へ戻せるかを必ず確認する

リミット条件を入れる時は、止めることだけでなく、復帰できることも確認します。 上限で上昇も下降も止まってしまうと、設備がその場から動けなくなることがあります。

現場での確認ポイント

上限・下限リミット回路を見る時は、入力のON/OFF、止めている方向、戻せる方向、表示の有無を順番に確認します。 ラダー上の接点だけでなく、実際のリミットスイッチの取付位置や動作状態も大切です。

上限・下限リミット回路で確認するポイントをSTEP形式で整理した図
リミット入力、止める方向、戻す方向、出力状態の順で見ると、原因を追いやすくなります。

上限LS・下限LSが入っているか

入力モニタで、実際の位置と入力状態が合っているか確認します。

止める方向が合っているか

上限で上昇、下限で下降を止めるようになっているか確認します。

戻す方向が生きているか

上限から下降、下限から上昇できる条件になっているか見ます。

接点の使い方が合っているか

a接点・b接点、通常時ON/OFFの仕様とラダーの使い方を照合します。

取付位置がずれていないか

リミットスイッチのドグ位置、検出位置、機械側のズレを確認します。

安全回路と混同していないか

通常制御のリミットと、安全停止用のリミットは役割を分けて考えます。

リミット回路だけで安全を担保しない

上限・下限リミットは、通常制御の範囲制限として使われることが多いです。 人の安全に関わる部分は、安全リレー、安全PLC、非常停止回路など、設備仕様に合わせた安全設計が必要です。

まとめ

上限・下限リミット回路は、設備が決められた範囲を超えて行き過ぎないようにするための基本回路です。 上限に当たったら上昇を止め、下限に当たったら下降を止めるように考えます。

大切なのは、リミットに当たった時に全部を止めるのではなく、行き過ぎる方向だけを止め、反対方向へ戻せるようにすることです。 ラダーを見る時は、リミット入力、止める方向、戻す方向、運転許可、出力状態を順番に確認すると分かりやすくなります。

  • 上限・下限リミット回路は、行き過ぎる方向を止める回路
  • 上限LSは上昇方向、下限LSは下降方向を止める条件に使う
  • リミットに当たっても反対方向へ戻せるようにする
  • インターロックとは目的が少し違うが、組み合わせて使うことが多い
  • 安全回路とは分けて考える